単段式宇宙機(SSTO-Single Stage to Orbit)とは、燃料や推進剤のみを消費し、エンジンや燃料タンクなどを搭載した機体を切り離さずに衛星軌道に到達できる宇宙機(ロケット、スペースプレーン)です。"SSTO" の字義上は往路だけを指し復路は含みませんが、往復可能な再使用型宇宙往還機の意味で使われる場合もあります。
軌道に衛星を投入するためには遠心力と重力が釣り合う速度(=約8km/s)まで速度を上げる必要がありますが、推進剤が大半を占める宇宙機(ロケット)は推力を上回る燃料を積んでも重すぎて浮上できないため、搭載する燃料の量が限られます。そのため、これまでは単段式宇宙機(SSTO)は実現していません。
ただし、多段式ロケットのような切り離し機構などが不要となり構造を簡素化できることから、開発に成功すれば宇宙輸送において大きなメリットが得れれることは確実です。
単段式宇宙機に必要な技術
SSTOの実現には、大別して次のような技術が必要となります。
軌道への衛星投入(往路)に必要な技術
高性能なエンジン(燃費、推力)
軽量化
地上への帰還(復路)必要な技術
大気圏再突入能力
着陸能力
簡便で経済的な整備が可能
主要部分の寿命が長く繰り返し利用可能
Space Transitの開発計画
Space Transitでは、理論上最も高性能な水素燃料ロケットエンジンに、エアーブリージング(LACE)により搭載酸素を減らすことで大幅な軽量化を図り、単段式宇宙機SSTO(往路)を実現します。
往路のSSTOを実現した後、エアーブリージング機能の強化、機体全体の軽量化、大型化による効率向上、着陸技術の進化によって復路まで含めた宇宙往還機の実現を目指します。