ロケットエンジンの推進剤の種類と特徴

液体燃料ロケット

液体水素

燃料に液体水素、酸化剤に液体酸素を使用します。水素は軽く噴射速度を早くでき、最も高性能なロケットエンジンを作ることができるため、日本の基幹ロケットに採用されています。

液体水素は温度が低く密度が小さいため、高コストかつ冷却状態の維持が難しいことが難点ですが、脱炭素社会の実現に向けて様々な産業で水素の活用が研究されているため、将来的にコスト低下が期待されています。

空気液化のための冷媒として液体水素を使用すること、日本の基幹ロケットのエンジンとして長い歴史があること、脱炭素社会に向けて水素の活用が増え燃料コストが下がると予想されることから、Space Transitでは液体酸素/液体水素(LOX/LH2)をロケットエンジンの推進剤に採用しました。

炭化水素系

石油から精製されるガソリン、ケロシン(灯油)、ジェット燃料などを燃料に、酸化剤に液体酸素を使用します。石油精製の炭化水素系燃料は安価で大量供給でき、取り扱いも容易のため、ロケット燃料として昔から使われてきました。

水素より密度が高く液体酸素と温度が近い液化天然ガス系(LNG)の液体メタンなどは、宇宙空間における利用やメンテナンスの容易さから適用を検討する例が増えており、各国で開発が進められています。

ヒドラジン系

ヒドラジンとその誘導体であるモノメチルヒドラジン、非対象ジメチルヒドラジン、エアロジン-50などを燃料に、硝酸類もしくは四酸化二窒素を酸化剤として用いられます。タンク内に常温で長期間貯蔵が可能であり自己着火性により点火器が不要となることから主に上段ロケットなどに使用されています。ただし、腐食性や毒性が強く、タンクの腐食や発生する毒性ガスによる事故のリスクが欠点です。

固体燃料ロケット

固体燃料ロケットは 構造が簡単なので開発、製作、取り扱いが容易とされますが、一度点火したら止めるのが難しいなど誘導制御が比較的難しいことが難点です。

コンポジット推進薬

不均質系推進薬のうち、燃料となるアルミニウムなどの金属粉と過塩素酸アンモニウムなどの酸化剤の結晶を、ポリブタジエンなど合成ゴム系のバインダーで固めたものが利用されています。